戸谷氏は、精神科医の片田珠美氏の「何か問題が起こるとすぐに「○○のせい」と責任転嫁して、「自分は悪くない」主張する」、文学研究者の荒木優太氏の「自己責任だ、という言明は、多くの場合(略)見捨てることを正当化しようとする他者から発せられる」という言葉を引用しながら、「そもそも自己責任という概念自体が、他者への責任転嫁を含意している」、「自己責任論は人々を無責任にする。自責は他責を可能にする」などと述べています。(P.40~P.42)
「○○さんのせい」にすると聞こえが悪いですが、「○○さんが自己責任を果たさないから」と言えば、何かもっともなことを言っているようにも聞こえます。つまり、「自己責任」という語が使われるときには、それが責任放棄のためなのかどうかを見極める力が聞く側には求められるということになります。(20025.2.25.)
(参考・引用図書:『生きることは頼ること』戸谷洋志 講談社現代新書2751 2024年)
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