ブレイディみかこ氏は、「人間って、水平な関係性のなかじゃないと、互いをケアしづらくなるんです。垂直の関係性のなかにもケアはありますけど、それは結局、義務や命令、支配や被支配にもとづくものになって」(P.289)と述べています。また、「「配慮とリスペクトをもって」他者と共存するなら、互いをケアしますよね」(P.290)とも述べています。
しかし、「忖度ってエンパシーの亜種じゃないかな(略)だけど、日本の忖度って、基本的に「自分より上の人」に対してしか働かないじゃないですか。(略)つまり忖度って、垂直のなかの構造での限定的なエンパシーなんです」(P.293-294)。「だとしたら、そういった偏った共感のあり方をバラして、もっと水平にしていかないと、エンパシーは本来のかたちでは働かないと思うんですよね」(P.294)と述べています。
福祉における支援は、本来は、「してあげる-してもらう」という関係ではないはずです。しかし、日本ではその関係性が強いように思います。「してもらう」と思ってしますので、「支援を受けることは恥ずかしいこと」とも思ってしまうのでしょう。「してもらっているのだから」と支援者が思うと、「お礼がないとか」、「言うことを聞かないなら無理強いしても」ということになるでしょう。津久井やまゆり園事件でもその背景はあったでしょう。
「水平にしていかないと、エンパシーは本来のかたちでは働かない」ので、仲間の内面を理解するためにも、「職員が仲間を支援している」だけでなく「仲間が職員を支援している」ということが実感できるようにしていくことも必要だと思っています。(2026.2.24.)
(参考・引用図書:『哲学史入門Ⅳ』 斎藤哲也(編) NHK出版新書750 2025年)

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