勅使川原氏は、「「仕事」とは何か?(略)「選び」「選ばれ」生きていることを、あまりに所与のものとして、それを思い通りにしようとか(略)なんて言えば言うほどに、前途はいばらの道だ。(略)他者や環境と「組み合わせ」て生きること。(略)他者よりも「抜きんでる」のではなく(略)他者と「ともに在る」こと。これこそが労働であり、教育であり、社会で生きることだ。」(P.247-248)と述べています。
著者は、「選び」「選ばれ」生きることが、「所与」のことと言っています。組織で生き残るためには、その組織の「役に立っている」ということを主張することになるのでしょう。また、チームで業務を進めるときも「役に立っているか否か」でチーム内の人間関係を判断することになるのでしょう。そして、そのことが「当たり前と思って疑わない」怖さも示唆しています。「役に立っている」とは、何に対してなのか、自己満足で終わっていないか、そうであれば「役に立つ」ことが、本当に「自己実現」であると言えるのか。そうとは言えないでしょう。「役に立つ」ために福祉の仕事を選ぶ人もいますが、その人の自己満足のために、利用者がいるわけではありません。(2025.9.29.)
(参考・引用図書:『働くということ-「能力主義」を超えて』勅使川原真衣 集英社新書1219 2024年)
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