國分氏は「エビデンス主義には民主主義的な側面があって(略)深く同意します。ところが、(略)別の側面があって、非常に少ないパラメータだけを使って真理を認定するので、個人の物語を無視する。(略)エビデンス主義は「それは誰にとっても通用するわけじゃない」(略)と民主主義的な暴力で叩き潰してしまうところがあるわけです」(P.190)という。
何かを議論するとき、検討するときに、考え方が独断的にならないように、勝手な解釈ならないように、「エビデンスは?(証拠は?)」と聞かれることがあります。「それはあなたが勝手に思っていることではないですか?」と聞かれたときに、「〇〇さんも同じようなことを言っています」とか「△△という検証結果があります」とか言えば、「なるほど」となって、議論や検討が進むかもしれません。しかし、その例示されたエビデンスが、説明する人にとって都合の良いごく一部のようだと採用されないかもしれません。「ネガティブな反応はもっともらしい」という意見もあるように、数の力で真理は追求できないはずです。(2025.12.17.)
(参考・引用図書:『言語が消滅する前に』國分功一郎・千葉雅也 幻冬舎新書634 2021年)

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