おりづる作業所・オリーブの仲間たちの工賃は毎月15日に支給されます。
最初の支給体系は、無認可時代より続いていたその月の売り上げをその月に支給するという方法でした。
それでは月ごとに売り上げに応じて給料のアップダウンが激しく、
「自分だったらいやだなあ」と違和感を抱き、方法を見直し、毎月一定額の基本給をベースに、
売り上げに応じてグループ手当を上乗せする方法に変更しました。
その基本給は何があっても毎月、確実に支給するために、
売り上げの多い月に積み立てて、売り上げの少ない月に戻入するようにしました。
この体系に変更した約10年前から作業所の状況が大きく変化してきました。
「生活介護事業所」で「どんなに障害が重くても作業を中心に取り組む」という看板を出しているので、
いわゆる障害が重いとされる仲間の利用が増えたことです。
生産性があるのかと問われると難しいとされる仲間たち・・・
でも頑張っていないのかというと、決してそんなことはない。
でも、工程の複雑な作業がある作業室には入れず、軽作業のグループに仲間が増え続けました。
そのことにより作業室の人数がアンバランスになったことで、同じ収益(売り上げから諸経費を引いたもの)があっても、
作業グループの人数によって工賃差が生じるようになりました。
(いわゆる同じサイズのパイを何人で分けるのかという状態)
もちろん売り上げは作業室ごとに違います。
お客様を飽きさせない商品のラインナップか、
消耗品であれば、リピートしてもらえる品質か、
耐久財であればどれだけ販路を広げられるか、
職員は、PDCAサイクルをまわしながら仲間の工賃アップに取り組んでいます。
ここ数年、毎月の工賃を見渡すと、上記のようなことが何度かあり、
「なんだかもやっとするなあ」ということが増えてきました。
しかしコロナ禍で売り上げが下がったため、一時期手を付けることすら難しかったのですが、
ようやく売り上げが回復してきたので、このたび支給体系の見直しを行いました。
基本給、上乗せの手当という基本的なしくみは変えず、手当の計算方法を検討しました。
その結果、これまで高かった仲間は少し下がり、低かった仲間は少し上がることになりました。
どんなに難しくても、仲間たちにはできる限りわかりやすく説明しよう、特に下がる仲間たちにはそれが必要だと考えました。
管理者から仲間に1回、家族に1回、担当から仲間に1回説明し、作業室でゆっくり思いを話してもらいました。
よくわからない、難しいと感じる仲間が多いなか、
さがる仲間たちから「いやだ」、あがる仲間から「うれしい」との声もありました。
そこで再び、職員は「仲間の気持ちを聞いたうえで何を伝えるか」ということを考えました。
どの仲間も感じたことを率直に言ってくれたことを否定したくない、
「『みんなの給料はみんなでつくる』でしょ!」「忙しいときは助け合っているよね」と正論を言うだけの「説得」はしたくない。
それぞれが感じた気持ちは大切にしたい。
その中で、おりづるがずっと取り組んできた「みんなの給料はみんなでつくる」を大切にし続けるためには何を伝えるか。
職員が聞いてきた仲間の気持ちを全体に伝え、
「どの気持ちもたいせつ」
「さがってイヤ、あがってラッキーで終わらず、ほかの仲間の気持ちを知ってほしい」
「おりづるが大切にしていることは変わらない」
「誰かが給料をかせいでくれるのではなく、自分たちがやらないと給料はできない」
という話を、新しい体系で計算した工賃を渡す日に説明しました。

今回、仲間たちは率直な気持ち(感情やわからないこと)を伝えてくれました。
職員はそれに対して正しいことだけを返して、「しかたないじゃん」ではなく、
仲間の気持ちを受け止めつつ、ひとまず求められること(理屈)を確認し、
感情と理屈のはざまで葛藤している仲間たちの気持ちを受け止める存在でありたいと思います。

最近のコメント