三宅氏は、2007年に内閣府が示した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」憲章」の一文を用いながら、仕事と生活の両立を目指す理想論に見えるようだが、「実は有限は個人の時間を、うまく「仕事」と「生活」に割り振ることで、「地域生活への貢献を果たしてくれ、と書いている」という指摘をしています(P.252-253)。また、青野桃子氏の論をもとに、「政府は、かつての体を休めるための余暇を、個人の地域社会参加に使える自由時と読み替えたのだ」と指摘しています(P.253-254)。

これらの論によると、「仕事」も「生活」も、社会に貢献することを強いられている感じがします。「見える方法で何かしないと、貢献したことにならない」、ではないと思いますが、それは分かりにくいことなのでしょうか。(2025.10.27.)

(参考・引用図書:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆 集英社新書1212B  2024年)