著者は、「所属する組織によって、人の思考や心理はこんなにもたやすく変容してしまう」(P.152)とし、「虐待事件のトリガー(引き金)となった条件は何だったと考えられるのか」(P.153)について、碓井真史氏(新潟青陵大学)に聞いたとして、集団において虐待が起きる心理的要因として、➀匿名性 ➁組織性 ➂リスキーシフト ➃服従欲求 ➄原因帰属理論の五つを挙げている。➀の匿名性は、「大勢が集まると『大勢の中の一人』になってしまう。『私』であるという感覚が薄れてきます」(P.154)として、➁の組織性は、「組織の中で生きていると、その組織の文化や考え方が『普通』だと思ってしまいます」(P.159)とし、また「仲間外れになりたくなかった」という被告のことばもあります。この二つのことは「集団に流される」ということばもあるように多くの人が理解できるのではないでしょうか。(2026.6.9.)
(参考・引用図書:『黴の生えた病棟で-ルポ 神出病院虐待事件』 神戸新聞取材班(著) 朝日新聞出版 2024年)

最近のコメント