もう何年も前の話になりますが、紙すきの作業をしているときです。牛乳パックをミキサーで細かくして、ざるで水を切る工程があります。水を切るときには、水がこぼれないように、ざるの下にはボウルが必要なのですが、そのとき、その仲間は「大丈夫だよ」と言って、ボウルを準備せず、ミキサーの中身をざるに入れました。当然、その下(机でしたが)は、水浸し……に。その仲間は「まずい」という表情をしていましたが、「こぼれているから拭こうね」と周りから言われて拭いていました。その日以降、その仲間はその作業をするときには、ボウルの準備をしないことはありませんでした。

職員は無理にでもボウルを準備することはできましたが、それをしても「ボウルが必要」ということはその仲間は理解しなかったでしょう。失敗したから(水がこぼれたから)、なぜボウルが必要かを実感できたでしょうし、片付け(机を拭く)がたいへんだったから、次から気をつけようと思うようになったようです。