ご無沙汰しております。

地域や応援してくださっている方から、「コロナのことで何か困ってない?」というお声をたくさんいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

ここで、おりづる作業所・オリーブがどんな取り組みをしてきたのか、これからしていこうと考えているのか、現時点ではありますが、記録もかねてご紹介します。

― 2月 ―

まず、新型コロナウィルス感染症(以下、新型コロナ)が日本で流行し始めた2月ごろ、仲間・職員に朝の検温、入館時の手指消毒をお願いし、職員には出勤してすぐ、手分けしての所内消毒を行うようにしました。このころから、イベントやバザーなどが次々中止となりました。

厚労省より介護施設に布マスクが届き始めことや、縫製グループでも布マスクを職員分作製したものを買い取り、職員全員に渡せたので、職員は勤務中マスクを着けることを必須としました。

 

― 3月 -

3月には、おりづる朝市や光と風まつりの中止を決めました。

また、トイレットペーパーが手に入らない騒動のとき、たまたま、おりづるでもトイレットペーパーがなくなってしまい、どこでも在庫切れとなっていて、あわてて、仲間のご家族や職員に提供をお願いしました。トイレットペーパータワーができるほど、補充いただき本当に助かりました。

厚労省より追加の布マスクが120枚届いたので、仲間やボランティアさんに配布し、仲間・ボランティアさんもマスクを必須としました。

 

― 4月 -

4月に入り、広島市内の福祉施設でクラスターが発生したこともあり、緊張は増しました。私たちにとっても他人ごとではありません。

具体的な行動を朝や給食時の「密」を減らすために、作業室ごとに時間差の給食や朝の会は作業室ごとでわかれて、館内放送で行う、当面14時帰りを毎日行う、などの対応をすることを決めました。

 

「密」を避けることは何とか工夫で乗り切りましたが、私たちの仕事は「接触を減らす」がなかなか難しい仕事です。どうしても支援するときに身体に触れたり、至近距離で話をしたり、一緒に何かをすることもあります。

一番手っ取り早く接触を減らすためには、「休む」ことが一番ですが、休むことで報酬が入らず、その補償もないこと、さらに、作業所が休みになることで生活リズムがとりにくくなる仲間もおり、どうしても休むことには踏み切れませんでした。学校が休校になり、子どものいる職員の負担も気になっていましたが、休む=無報酬のため、どうしてもそれはできなかったです。

そのような中、4月半ばに「臨時的在宅支援」という「電話や訪問で通所と同様の支援をしたとみなす」という広島市からの通知が届きました。

連休明けから5月いっぱいは作業室交代で1週間に1日ずつ仲間は休み、職員は時短勤務にして、なるべく他の仲間や職員との接触を減らすようにしました。また、時短勤務の日は小学生以下の子どもがいる職員に限り、申し出があれば在宅勤務を可としました。時短勤務の日は、ふだんなかなか取り掛かれない実務を行い、他の日にも早く帰れるようにするねらいもありました。

 

4月の職員会議で、新型コロナの状況に応じた作業所の対応を一覧にして職員に配布し、現時点でのイメージを共有しました。合わせて、急な環境の変化に仲間が対応しきれないことが想定されるので、不安定な様子を見せる仲間について職員で共有しながら全体で丁寧に対応しようという話をしました。また、このころからアルコールが手に入りにくくなり始めたので、アルコールは手指消毒のみとして、所内消毒は界面活性剤(台所洗剤)を薄めて二度拭きとしました。

それに加えて、ゴールデンウィークの中日の4月30日は仲間やお休みにさせていただき、具体的な消毒方法の確認や、広島県が配信している福祉施設職員向けの動画をみんなで観て、臨時的在宅支援の方法を全員で確認しました。

 

― 5月 -

連休明けから5月いっぱい、仲間の週1日在宅支援を行いました。このころには14時帰りを15時15分帰りとしました。

 

現在、「密」を避ける取り組みは続けています。はばたき活動は、「はばたきWEEK」とし、同じ取り組みを1週間のうち、分かれて取り組んでいます。途中の換気や水分補給も大切にしています。全体の給料セレモニーも館内放送で行っています。職員がどうやったら仲間たちにわかりやすく取り組めるか工夫をあれこれ考え、「声だけの」セレモニーを頑張っています。

 

いつもなら、光と風まつりで慌ただしい作業所ですが、今年は静かな5月でした。

 

― これから -

夏になると、熱中症とマスク、エアコンと換気など、兼ね合いが気になるところです。また、若年層の感染が増加しているという報道もあり、今後が不安なところです。仲間たちは自分の不調をうまく伝えることが難しいので、仲間たちの身体の不調に気づけるか、気づいたら速やかに対応できるか、など私たち自身の不安もあります。

第2波、第3波はあるという見通しで、その予防に向けてどう対応するかということを具体的に考え、行動していく必要があると思います。

 

― 仲間たち -

新型コロナのことをニュースで聞いて、よく知っている仲間もいれば、まわりの変化に戸惑っている仲間、頭ではわかっているけれど、いつも行っている大好きなお店がお休みに直面して元気をなくす仲間もいます。

変化してすぐ、というより、時間が経つにつれ、じわじわと変化を理解し、いつもと違う、いろいろなお楽しみがない、と変化を肌で感じてしんどくなっているようです。仲間のしんどさをすべて新型コロナの影響と判断はできませんが、まったく関係ないとも言えないと感じています。

また、どうしても接触や密を減らすために、作業室ごとの動きになります。休憩時間にあちこちで作業室ではないところでの関わりが楽しいのですが、それができなくなり、常に作業室の仲間や職員とばかり関わっている状態です。なんとも寂しい限りです。

 

― 工賃 -

一番お問い合わせをいただく部分です。

バザーが中止になり、主催の光と風まつりや朝市が中止となり、販売機会は圧倒的に減っています。その危機感が職員に強くあったため、4月の売り上げは前年比平均150%でした。昨年が極端に低かったというのもありますが、この4月には、バザーがないということで、物販やカタログ販売に力を入れた成果が出ています。心配なのはそれが継続することは難しいということです。工賃を上げるために努力を重ねてきた成果が最近ようやく形になりつつあったので非常に残念です。

ちなみに5月分は昨年と比べて減収は明らかなようです。

いずれにせよ、バザーなどの対面販売頼みでは、今後も収益確保は難しいと考えます。通販などの仕組みをどう作っていくか・・・重要課題と考えます。

 

― 新型コロナの対応で学んだこと -

これだけ正解がない取り組みは初めてです。情報も錯綜としており、予防策を講じてもきりがなく、何をしていても確信がなく、不安です。だから、今後のために記録や資料を残すようにしておこうと考えています。おりづるは、基礎疾患のある方はいますが、比較的体力のある人たちが多いです。医療関係や高齢者施設の方たちの施設は大変だろうと想像します。

今回、仲間や家族、職員が協力的に取り組めたと思います。仲間が在宅で間がもたないという話もたくさん聞きましたが、在宅支援をやめてほしいという声はありませんでした。また、マスクや検温など全体でしっかり取り組めていることは本当にありがたいことだと思っています。

ワクチンや薬が見つかるまでは、この取り組みは続きます。情報に注視しながら、どうすれば効果的な予防策が行えるのか考えながら取り組んでいきたいと考えています。