ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。これは、国際障害者年行動計画のなかの一節です。

特定の疾病や障害があることを理由にして、旧優生保護法に基づき生殖を不能にする手術などを受けることを強いられた方たちが各地で訴訟を起こしました。旧優生保護法には「優生上の見地から、不良な子孫の出生を防止するとともに」とありました。少数の特定の疾病や障害のある方は、少なくとも“出産”という場面から閉め出されていたことになります。

「“弱い人”がいなくなれば、“強い人”が残ってその社会も強くなる」、という発想ですが、旧優生保護法で規定していた特定の疾病や障害の人が、もしいなくなったとしても、相対的にそれに代わる次の“弱い人”が次々に生じてきます。つまり、“弱い人”がいなくなっても“強い”社会にならないということです。また、そのような社会では、「失敗すると閉め出される」という気持ちにもさせ、「失敗できない」という「安心感とは程遠い社会」になってしまう可能性が潜んでいると言えると思います。