二反田氏は、この本の冒頭「はじめに」で「広島市郊外の山村で実際に起きた出来事です。(略)この村は、(略)爆心地から山2つ越えた、北西13キロの位置にあります」(P.4)と書いています。事実をそのまま書くと煩雑になるので物語の形をとったようですが、事実(証言)に基づいているということです。「8月6日の原爆投下の時、計算上、閃光から37秒後に大爆音がして」(P.29要約)、「全校舎が地震のように激しく揺れました」(P.30)ということです。

言われてみれば、その通りなのですが、原爆の被害や影響は、爆心地だけではないのです。黒い雨は郊外まで降ったということは知っていたのですが、揺れが爆心地から13キロも離れたところで感じることとなり、揺れだけでなく窓ガラスが割れるなどの被害があったようです。原爆後の被害でよく見るのは爆心地が多いので、ついつい、いつのまにかそれが被害のすべてと思い込んでしまったようです。山を越えて被害があったということは、想像すらしていなかったのですが、実際に起きたことです。

いまもあちこちで災害が生じていますが、映像で流れるところだけが被災地ではないという想像力をつけていかなければと思い知らされた本でした。(2026.9.7.)

(参考・引用図書:『戸山村の夏 広島市郊外-子どもたちの原爆』 二反田 正康(著) 渓水社 2026年)