福祉の事業所は、利用者がいて、その人が福祉サービスを利用することによって事業所に収入が入ってきます。その収入は、各事業所が報酬が設定するのではなく、国が定めます。医療は2年ごと、介護・障害は3年ごとに改訂されます。事業所の収入の使いみちとしては多くは人件費です。つまり、利用者がほぼ定員になっていると、報酬単位が上がらないと収入が増えない、人件費の定期昇給分の収入が確保できないということになります。報酬改定の時期には、国の機関同士での綱引きがあるようですが、福祉の現場の職員の働きがいはどのように考えられているのでしょうか。障がい者制度改革推進会議総合福祉部会で策定された骨格提言には次の一文があります。

「障害福祉の報酬水準は、障害者の人権の価値評価、尊厳の水準と連動している。障害福祉を実践する人材が枯渇し自らや家族の生活の維持さえ危ぶまれるような状況であればこの国が障害者の人間としての基本的価値を蔑んでいることを意味する。」(2024.3.4.)